脂漏性皮膚炎とは
頭皮や顔などに炎症とかゆみを引き起こす「脂漏性皮膚炎」について解説します。
脂漏性皮膚炎の症状
脂漏性皮膚炎は子供から大人まで発症する皮膚炎の一種です。
主に皮脂腺の多い頭皮と顔に現れやすくなっています。
頭皮に発症した場合は、きちんと洗髪をしていてもかゆみや炎症が起き、皮膚が剥がれたような大きなフケが大量にでたり、頭皮の臭いがきつくなることがあります。
症状が進行すると、頭皮環境の悪化により毛根にもダメージが行き抜け毛や薄毛などの症状を伴う「脂漏性脱毛症」を引き起こします。AGAの初期症状と勘違いする方がいらっしゃいますが全くの別物となっています。
顔の場合は特に皮脂腺の多い鼻や、頬など広範囲にわたって炎症が起きる場合があります。「脂漏性湿疹」としてこちらの症状をご存知の方もいらっしゃるかもしれません。脂漏性皮膚炎と脂漏性湿疹は同じ症状を指します。
脂漏性皮膚炎の原因
脂漏性の原因は皮脂の過剰分泌と皮膚常在菌であるマラセチアの異常繁殖にあるとされています。
マラセチアは誰しもが持っているカビの一種となり通常で有れば特に害はありません。
しかし、皮脂を栄養に繁殖している菌のため、皮脂が過剰分泌されるとそれを元に大量に増殖してしまいます。
マラセチアが大量に増殖した状態で脂肪分解が起きると、脂肪分解時に発生する酵素によって中性脂肪の一種であるトリアシルグリセロールが刺激性の遊離脂肪酸へと変わります。その刺激が頭皮や皮膚に炎症を引き起こします。
また、免疫システムを活性化させ、アレルギー症状を誘発することがわかっています。
皮脂が過剰分泌される理由
皮脂の過剰分泌を抑えることができれば、マラセチアの大量増殖を防ぐことができます。
どういった理由で皮脂が過剰分泌が起きるのか主な理由を挙げていきます。
【脂肪分の多い食事】
ジャンクフードやスナック菓子、脂身の多い肉中心の食事など高カロリーの食事が多い場合は皮脂を過剰に分泌させてしまいます。
また、ケーキやクッキーなど糖分も過剰摂取すると脂肪に変換されてしまいます。
食生活によって皮脂が過剰分泌されている場合には緑黄色野菜や、果物などビタミン2やビタミンCを豊富に含む食品やサンマやイワシなど脂肪の代謝効果のある青魚を摂取するようにしましょう。
【男性ホルモンの過剰分泌】
男性ホルモンは皮脂腺を刺激して皮脂分泌を促す作用があります。
体質や遺伝によって男性ホルモンの分泌量が多い場合は皮脂が過剰に分泌されやすくなります。
なお、男女共に男性ホルモンは保有していますが、一般的には男性の方が男性ホルモンの分泌量が多いとされています。
遺伝的な分泌量の多さを大きく変えることは難しいですが生活習慣や食生活を整えたり、睡眠時間をしっかりと確保したりすることで分泌量をある程度抑制することは可能です。
【過剰なスキンケア】
皮脂の分泌量が多い、肌のべたつきが気になるからと言って過剰な洗顔やスキンケアをしてはいないでしょうか。
皮脂には保湿や殺菌を行う役割があり、健やかな肌に欠かすことのできない存在です。過剰な皮脂の除去を行うと、肌の乾燥が起きるため身体は肌を保護するために皮脂をさらに分泌しようとします。
皮脂を除去するための対応が、結果として余計に皮脂分泌を促してしまうのです。
適度な洗顔とスキンケアを行い、肌を清潔に保つことを意識しましょう。
脂漏性皮膚炎の治療
軽度であれば自然治癒することもありますが、慢性化による再発の恐れもある皮膚炎のため医師の診断の元しっかりと治療することが推奨されています。
炎症を抑えるためのステロイドと、炎症の原因となっているマラセチアを抑制するための抗真菌薬を用いた治療方法が一般的です。
症状の度合いによってはかゆみを抑えるために抗ヒスタミン薬などが処方される場合もあります。
脂漏性脱毛症にまで進展した場合も、頭皮の炎症が静まり正常な頭皮環境にもどれば徐々に脱毛症状は改善していくとされています。