AGAの薬の副作用とその抑え方まとめ
AGAの薬は副作用に要注意
AGA(男性型脱毛症)治療薬には多くの種類があります。効き目が強いもの、弱いもの、女性には適さないものなど様々な特徴があり、副作用のリスクについても治療薬ごとに大きく異なります。
一般に、AGA治療薬は治療効果が高いものほど、また、外用薬よりも内服薬の方が副作用のリスクが高いと言われています。
AGA治療薬の重要な副作用として、性欲減退、精子減少、うつ、心血管障害、多毛などが挙げられますが、こうした副作用はミノキシジル、フィナステリド、デュタステリドなどの効果の強い薬を内服した場合によくみられます。
副作用のデメリットは身体に悪影響を及ぼすことだけではありません。副作用のために現在の治療を中断して別の治療に切り替えることで余分な経済的負担が発生し、ベストな治療のタイミングを逃してしまうといった可能性もあります。
こうした事態を避けるためにも、AGA治療を開始する前に副作用のリスクについてしっかりと把握しておくことがとても大切になります。
主にどのような副作用があるのかをまとめてチェックしていきましょう!
AGA治療薬の副作用にはどんなものがあるのか
AGA治療薬の中で特に副作用のリスク管理が重要になる薬として、プロペシア、ミノキシジル、ミノタブ(ミノキシジルタブレット)、ザガーロがあげられます。
ここではこれらの薬のもつ副作用の特徴について解説していきます。
プロペシアの特徴と副作用
プロペシアはMSD株式会社から発売されているフィナステリドを主成分とするAGA治療薬です。
プロペシアは日本皮膚科学会によるAGA診療ガイドラインでもAランク=「行うように強く勧められる治療法」に分類されており、信頼性の高いAGA治療薬として幅広く用いられています。
AGAの発症にはⅠ型5αリダクターゼと呼ばれる酵素が主に影響していますが、プロペシアはこのⅠ型5αリダクターゼの働きを抑制することで男性ホルモンの産生を減少させ、薄毛の進行を抑えて発毛を促進します。
プロペシアの発毛促進作用は強力ですが、男性ホルモンの抑制に伴う各種の副作用が発現する可能性もあります。プロペシアにおいて現時点で報告されている副作用には以下のものがあります。
・睾丸痛、男性不妊症・精液の質低下
・性欲減退
・勃起機能不全、射精障害、精液量減少
・肝機能障害
・乳房圧痛、乳房肥大
・抑うつ症状
・めまい
臨床試験においては276例中11例(4.0%)で何らかの副作用が認められており、発売後の使用成績調査でも943例中5例(0.5%)で副作用が報告されています。
プロペシアの副作用の中でも頻度が高く、問題になることが多いのが性欲減退などの男性機能に対するものです。性欲減退は1~5%と高頻度で認められており、勃起機能不全、射精障害、精液量減少などの生殖機能の障害も1%未満の人で報告されています。
このようにプロペシアでは男性機能に対する影響を軽視できないため、服用に際しては医師や配偶者などと良く相談することをお勧めします。
液ミノ(外用薬タイプのミノキシジル)の特徴と副作用
外用薬のミノキシジル、通称「液ミノ」は有効成分の入った薬液を頭皮に直接塗布するタイプの薬で、有名なものとして大正製薬から発売されているリアップシリーズがあります。
ミノキシジルもプロペシアと同じく、AGA診療ガイドラインでAランクに分類されており、プロペシアと双璧をなす有名な薬です。
ミノキシジルはもともと高血圧の薬として開発された成分であり、強力な血管拡張作用を有します。ミノキシジルの薬液を頭皮に塗布すると、頭皮の血管が拡張することで血流が促進され、多くの栄養分が毛母細胞に供給されることで発毛が促進されます。
一方で、ミノキシジルの血管拡張作用は時として予期せぬ副作用を引きおこすこともあります。薬液を頭皮に塗布した場合でも、有効成分の一部は頭皮の血管に吸収され、血流に乗って全身に移行し、様々な部位に作用するため、以下のような症状が発現する可能性があります。
・頭皮の発疹・発赤
・頭痛
・多毛
・めまい
・胸痛
・頻脈
・体重増加
・むくみ
大正製薬がリアップX5(ミノキシジル5%含有製剤)について公表しているデータでは副作用発現率は8.7%されています。ただし、これらの多くは頭皮の炎症や湿疹など軽度なものであり、重度な全身性の副作用はほとんど報告されていません。
これは、液ミノは局所で作用する薬であり、全身に移行する量は極めて微量であるためと考えられます。
液ミノは多くの方に安心してお使いいただける薬ではありますが、重度の心疾患や腎障害、むくみなどのある方は、念のため、使用前に主治医と良く相談することをお勧めします。
ミノタブ(ミノキシジルタブレット)の特徴と副作用
ミノキシジルタブレット、通称「ミノタブ」は錠剤を内服するタイプのミノキシジルです。
内服した錠剤は血流に乗って全身に移行し、頭皮の隅々まで行き渡るため、外用タイプよりも作用が強いと言われています。
ミノタブは作用が強い分、副作用にも特に注意が必要です。現在、ミノタブの副作用として報告されているものには以下のようなものがあります。
・多毛症
・血圧低下
・頭痛、めまい、動悸、息切れ
・多臓器不全
・ED(勃起不全)・性欲減退
・赤ら顔、皮膚の潮紅
・初期脱毛
・吐き気、嘔吐
・浮腫・体液貯留
・心膜炎
・心膜液貯留
・心タンポナーデ
・狭心症
・心電図異常
・胸部圧痛
・白血球減少
・血小板減少
・貧血
・高カリウム血症
・水疱症
※ミノタブの正確な副作用発現率は公表されておりません
こうした副作用の中でも発現率が高く、問題となりやすいのが動悸、息切れ、頻脈、低血圧、多毛症などです。
ミノキシジルには強力な拡張作用があることはご説明しましたが、内服薬は全身への移行性が高いため、身体の様々な部位の血管が拡張することで上記の症状が発現します。
このため、心臓や血圧の病気のある方にはミノタブの服用はお勧めできません(万一服用され場合は必ず事前に主治医と相談する必要があります)。
また、全身の血管が拡張して栄養が行き渡ることによる多毛症も高頻度に発生すると言われています。女性の方でミノタブの服用を検討されている方はこうした副作用には特に注意が必要になるでしょう。
ザガーロの特徴と副作用
ザガーロはデュタステリドを有効成分とするAGA治療薬です。
デュタステリドもフィナステリドと同じく、5αリダクターゼを阻害しますが、フィナステリドがI型の5αリダクターゼのみを阻害するのに対し、デュタステリドはI型とII型両方の5αリダクターゼを阻害します。
このため、フィナステリドに比べて強力な発毛作用を発揮しますが、その分、副作用のリスクも高まります。ザガーロで報告されている副作用には以下のようなものがあります。
・肝機能障害、黄疸(頻度不明)
・発疹(1%未満)
・蕁麻疹、アレルギー反応、そう痒症、限局性浮腫、血管浮腫(頻度不明)
・頭痛、抑うつ気分(1%未満)
・浮動性めまい、味覚異常(頻度不明)
・性機能不全(リビドー減退、勃起不全、射精障害)(1%以上)
・乳房障害(女性化乳房、乳頭痛、乳房痛、乳房不快感)(1%未満)
・精巣痛、精巣腫脹(頻度不明)
・脱毛症(主に体毛脱落)、多毛症(頻度不明)
・腹部不快感(1%未満)
・腹痛、下痢(頻度不明)
多くの副作用が報告されていますが、特に発現率が高いのは男性機能に対する副作用です。
ザガーロではこれらの副作用がプロペシアより強く発現する可能性があるため、服用に際しては特に慎重になる必要があります。
AGA治療薬の副作用を抑制するには
副作用を抑えながらAGAを治療するにはどうすれば良いのでしょうか。
残念ながら薬による副作用を完全に失くすことはできません。副作用の強さは薬の効果に比例すると言われており、効果の強い薬ほど慎重に副作用のリスク管理をしなければなりません。
このため、服用する薬の特徴や副作用をきちんと調べ、ご自身の健康状態や社会的状況なども考慮に入れたうえで最適な薬を選択する必要があります。
クリニックで医師とよく相談することも大切です。ご自信の現疾患、既往歴、服薬歴、副作用歴、家庭状況などを包み隠さず医師に打ち明けることで、副作用のリスクを最低限に抑えた治療薬の選択が可能になります。
AGA治療薬の服用は長期に渡ります。せっかくの治療を中断させないためにも、副作用のリスク管理には最大限の注意を払うようにしてください。
まとめ
今回は代表的なAGA治療薬とその副作用について解説しました。治療薬によって副作用の内容や出現頻度も異なりますし、ミノキシジルも液ミノとミノタブでは副作用の内容・強さが異なります。
強い薬であればあるほど、効果も高いと思いがちですがそれは違います。
副作用によって体調を崩してしまっては意味がありませんし、刺激の低い成分量から使用を開始し、徐々に身体をならしていくというのも重要なポイントになります。
AGA治療薬は個人輸入で購入できるものも多くありますが自分に適した薬を選ぶというのは素人目にはかなり難しく、リスクの高い選択です。医師と相談しつつ何で治療を行うかを決めるのが最もオススメです。
クリニックに足を運ぶのには抵抗がある…という方は遠隔診療を行っているクリニックを選ぶことも視野にいれてみてください。
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