男性型脱毛症とは
男性型脱毛症は別名AGA(Androgenetic Alopecia)と呼ばれる進行性の脱毛症です。
ヘアサイクルを乱し、生え際や頭頂部の薄毛や抜け毛を引き起こします。
男性型脱毛症の原因や治療方法について解説します。
男性型脱毛症(AGA)の発症について
AGAは主に20代後半から30代前半にかけて症状が顕著になり、年齢とともに徐々に進行します。
公益社団法人日本皮膚科学会が作成した男性型脱毛症診療ガイドライン(2010年度版)では発症頻度について下記のように記載しており、年齢と共に男性型脱毛症を発症する割合が上がることが分かっています。
20 代で約 10%,30 代で 20%,40 代で 30%,50 代以降 で 40 数%と年齢とともに高くなる
AGAスキンクリニックで公表されている20代以上の男性1,030人を対象に行った調査によると多くの男性が薄毛について悩みを抱えているという実態が明らかになりました。
「非常に気にしている」「気にしている」という回答の合計が「23%」となりました。平成27年5月1日の20歳以上の男性人口「5,036万人」(総務省統計局)から算出すると「約1,200万人(小数点以下を四捨五入)」となり、20歳以上の男性の4人に1人が薄毛・抜け毛に悩んでいると考えられます。
また、「やや気にしている」の回答も合わせると実に「48.8%=2,457万人」と男性人口の約半数が同じ悩みを抱えていることになります。
また、大手製薬会社MSD株式会社によると3人に1人がAGAを発症していることについて触れています。
AGA(エージーエー)の人は全国で1,260万人*、そのうち気にかけている人は800万人、何らかのケアを行ったことのある人は650万人といわれています。
*20~69歳成人男性4200万人の約3人に1人
薄毛や抜け毛、ハゲは必ずしもAGAによるものではありません。
しかし、AGAを発症する可能性を多くの男性が持っていると言えます。
男性型脱毛症(AGA)の原因について
多くの男性を悩ませる男性型脱毛症(AGA)はなぜ起きるのか。
それは、男性ホルモンの一種テストステロンが悪玉男性ホルモン「ジヒドロテストステロン」に変化することが主な原因となっています。
私たちの体内には男性ホルモンを補強する作用のある「5αリダクターゼ」という酵素が存在します。この5αリダクターゼはテストステロンと結びつく事によってより強力な男性ホルモン作用を持つジヒドロテストステロンを作り出します。
ジヒドロテストステロン自体は、胎児の男性器形成などに必須となる重要なホルモンですが生まれた後はその作用の強さから、薄毛やニキビ、前立腺肥大などの症状を引き起こします。
また、ジヒドロテストステロン化する現象については5αリダクターゼの分泌量や活性が深く関わっています。
この部分については遺伝的影響が大きいと考えられており、5αリダクターゼの分泌量が多い遺伝子を持っている場合はジヒドロテストステロンが生産されやすいためAGA発症の確率が上がるとされています。
5αリダクターゼによって発生したジヒドロテストステロンは毛乳頭細胞内のホルモンレセプターと結合するとトランスフォーミング増殖因子「TGF-β」を生産します。
この「TGF-β」が脱毛シグナルを発信することにより髪の毛の成長が妨げられ、薄毛や抜け毛などの症状が起きてしまいます。
男性型脱毛症(AGA)とヘアサイクル
私たちの髪の毛は、成長する期間(成長期)、成長が止まる期間(休止期)、抜け落ちていく期間(退行期)の3つのヘアサイクル(毛周期)から成り立っています。特に重要なのが成長期で、この期間に髪の毛が太くしっかりと発毛および育毛されることで健康な髪の毛が保たれます。
成長期の期間については個人差がありますが、通常のヘアサイクルであればおよそ2~6年程度の時間をかけて髪が育ちます。
しかし、男性型脱毛症(AGA)を発症するとこの成長期がわずか数か月~1年程度と大幅に短縮されてしまい髪の毛が正常に成長できなくなります。成長不十分な髪の毛は、抜けやすく弱々しい軟毛と化してしまいます。さらには、脱毛も促されてしまうので、薄毛や抜け毛の症状が現れてしまいます。特にジヒドロテストステロンが発生しやすい生え際と頭頂部にこれらの症状が現れやすくなっています。
男性型脱毛症(AGA)の治療
本来人が持っているホルモンや酵素によって起きる脱毛症状であることから、治療が難しいと思われがちな男性型脱毛症(AGA)ですが、実は治療が可能な病気です。
ジヒドロテストステロンが生成されないように5αリダクターゼの活動を抑制する治療薬としてフィナステリド(プロペシア)や、血行改善と発毛促進により髪の毛が育ちやすいよう頭皮環境を整えるミノキシジル(リアップ)などによる治療や、成長因子を頭皮に注入して髪の素となる毛母細胞自体を活性化させるHARG療法など様々な方法があります。
また、早期段階での治療であれば治療効果が現れやすいことから各病院やクリニックでは早期治療を推奨しています。