毛乳頭細胞とは
毛乳頭細胞は発毛や抜け毛をコントロールする重要な組織です。その役割について詳しく解説します。
毛乳頭細胞と毛乳頭
毛乳頭は毛根部分の根底に存在します。
毛乳頭内部には毛乳頭細胞が存在し、これが毛乳頭を形成しています。そのため、書籍やサイトによっては「毛乳頭細胞」のことを「毛乳頭」として表記している場合があります。ここでは、毛乳頭細胞として紹介していきます。
毛細血管経由で栄養を吸収
皮下組織内の毛細血管とつながっており、毛細血管によって運ばれた酸素や酵素を取り込みます。
ここでしっかりと栄養等が取りこめればそれを元にしっかりとした健康的な髪の毛が作られます。
不摂生や血行不良などでしっかりと栄養が運ばれなければ、栄養不足で細く弱い髪が作られます。
なお、毛細血管が運ぶのは、髪に良い成分だけではありません。
AGAの原因となるジヒドロテストステロンや、脂肪分の多い食事で過剰な脂が運ばれてくることもあります。
植物に例えるならば「根」の部分であると捉えていただけると分かりやすいかと思います。
毛乳頭細胞は発毛シグナルを発信する「発毛の司令塔」
私たちの髪の毛はヘアサイクル(毛周期)によって変化します。
発毛と育毛期間となる「成長期」、成長が止まる「退行期」、そして成長が止まった髪の毛が抜ける「休止期」の3つから成り立っており、毛乳頭細胞は成長期になると毛母細胞へ発毛シグナルを発信し、退行期にはいると発信を停止します。
発毛シグナルは毛乳頭細胞の中にある成長因子「BMP」や「エフリン」などがシグナル伝達物質として働くことで発信されるのが近年研究で分かってきました。
発毛シグナルを受けた毛母細胞は細胞分裂を起こし髪の毛を成長させます。
髪の毛はこの毛母細胞が角質化(角化)することで形成されることから発毛には、発毛シグナルを発信させるための毛乳頭細胞と、髪を作る毛母細胞の両方が重要となってきます。
抜け毛を指示する脱毛シグナルも存在する
毛乳頭細胞が発信するのは発毛シグナルだけではありません。
男性ホルモンが毛細血管を伝って毛乳頭細胞に取り込まれた際に毛乳頭細胞内に存在する酵素「5αリダクターゼ」と結びつくとテストステロンはジヒドロテストステロンに変換されます。
ジヒドロテストステロンからは成長シグナルとは真逆の脱毛シグナルが毛乳頭細胞から発信されます。
脱毛シグナルを受け取ると毛母細胞は細胞分裂を抑制します。その結果、髪にとって最も重要な期間である成長期が短くなり成長不十分な弱々しい髪しか育たなくなってしまうのです。
また、行期や休止期の成長が終わった髪の毛にも影響を及ぼすため本来ならばまだ抜けるはずではなかった髪も抜けてしまいます。
発毛と脱毛の指令の両方を司るのが毛乳頭細胞です。