アデノシンとは
プリン塩基の一種「アデニン」と糖の一種「Dリボース」が結合した化合物がアデノシンです。ここでは、AGA治療におけるアデノシンの効果について解説します。
アデノシンのAGA治療効果について
アデノシンは私たちの体内に存在する化合物です。AGA治療において、アデノシンが毛乳頭細胞に作用することで血行促進、成長期の延長、発毛促進の効果を発揮するとされています。資生堂の「アデノシン」シリーズを始め、複数のメーカーからアデノシンを配合した発毛促進剤等に用いられているので、耳にしたことがある方も多いかもしれません。
アデノシンの毛母細胞に対する作用
それぞれの作用について、詳しく見ていきましょう。
【血行促進】
健康な髪の毛の維持、育成に欠かすことができないのが頭皮の血行です。
頭皮の中をめぐる毛細血管と毛根は繋がっており、そこから栄養や酸素を取り込みます。血行不良が起きると、毛根から十分な栄養等を吸収することができないため髪がやせ細ったりしっかりと成長できず抜け毛につながる場合があります。アデノシンは塗布することで頭皮の血行を促進しすることで酸素や栄養が髪に行き渡るように作用します。
【髪を育てる「成長期」の延長】
髪の毛は成長期・退行期・休止期の3つのヘアサイクルを繰り返しています。
その中でも成長期は髪の毛の成長・発毛において大変重要な期間となります。
アデノシンは毛母細胞に働きかけて発毛促進因子と呼ばれる「FGF-7」を生産する作用を持つことから、この成長期を延長させる作用があるとされており、育毛効果が期待できます。
男性型脱毛症診療ガイドラインにおけるアデノシンの評価
公益社団法人日本皮膚科学会が作成した男性型脱毛症診療ガイドライン(2010年版)によるとアデノシンの効果は下記のように記載されています。
アデノシンの発毛効果に関しては, 有効性を示す根拠は少ないものの,副作用が軽微な点も考慮し,外用療法の一つとして推奨することにする.
ガイドライン内での推奨度は現状C1(行うことを考慮してもよいが,十分な根拠がない)となっていますが、今後の研究次第ではその評価が変わることも考えられます。
アデノシンだけでAGA治療は可能か
この点については賛否両論がありますが、アデノシンにはAGAの根本的な原因であるジヒドロテストステロンを生産する5αリダクターゼを抑制する効果が無いとされています。そのためアデノシンだけでAGA治療を行うことについては疑問の声が上がっているのも事実です。
また、カフェイン摂取によってアデノシンの働きが抑制されることもわかっており食生活や症状によっては十分にその効果を発揮できないとされています。
ですが、薄毛の原因によっては発毛ならびに育毛効果が期待できることから症状に合わせて利用を検討するのがオススメです。