薄毛治療薬は処方薬と市販薬どっちがオススメ?医薬品の分類を知ろう
薄毛治療を使いたい。
でも買った方がいいのか、クリニックで処方してもらった方がいいのか分からない。
そんな悩みを抱いたことがある方も多いのではないでしょうか。
今回は、知っているようで知らない医薬品の分類や違いについて解説します。
市販薬か処方薬か、どちらで薄毛治療を行うか悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
市販薬「OTC医薬品」とは
OTC医薬品とは、医師の処方箋無しに薬局やドラッグストアで購入できる医薬品のことで、大衆薬、市販薬などとも呼ばれています。
平成26年の法改正によりOTC医薬品は「要指導医薬品」と「一般用医薬品」の2種類に大別されるようになりました。
要指導医薬品
「要指導医薬品」とは医療用医薬品(処方薬)に近い効き目をもつ医薬品であり、OTC医薬品のなかでは最もハイリスクな位置づけにあります。
要指導医薬品の多くはもともと医療用医薬品として用いられていた薬です。
医療現場での長期に渡る使用を通じて一定の安全性が確認されたため、要指導医薬品として一般向けの販売が解禁され、店頭に並ぶようになったという経緯を持ちます。
このため、要指導医薬品はOTC医薬品の中でも特にリスクが高く、使用には細心の注意を払う必要があります。
購入の際には、薬剤師から服薬指導や文書による情報提供を受けることが法律で義務付けられているため、薬剤師のいない店舗では取り扱うことができません。また、インターネット販売なども禁止されています。
要指導医薬品がOTC医薬品に占める割合は数パーセントと非常に少ないです。現在販売されている有名な要指導医薬品としては、第一三共ヘルスケアから販売されているロキソニンSテープ、ロキソニンSゲルなどが挙げられます。
その他、バイエル薬品株式会社の「クラリチン」やライオン株式会社の「クリニカ フッ素メディカルコート」などもOTC医薬品に該当します。
要指導医薬品の例
有効成分 | 販売名 | 製造販売業者 | 効果・効能 |
---|---|---|---|
ロラタジン | クラリチンEX | バイエル薬品株式会社 | 花粉、ハウスダストなどによる鼻のアレルギー症状(鼻みず、鼻づまり、くしゃみ)の緩和平成29年9月2日 |
クラリチンEX OD錠 | |||
ロキソプロフェン | ロキソニンSパップ | リードケミカル株式会社(製造) 第一三共ヘルスケア株式会社(販売) |
関節痛、筋肉痛、腱鞘炎、肘の痛み、打撲、捻挫、腰痛、肩こりに伴う肩の痛み |
ロキソニンSテープ | |||
ロキソニンSテープL | |||
ロキソニンSゲル | |||
フッ化ナトリウム | エフコート エフウォッシュ バトラー エフウォッシュ |
サンスター株式会社 | むし歯予防 |
クリニカ フッ素メディカルコート クリニカ プレミアムフッ素ケア クリニカアドバンテージ フッ素メディカルコート |
ライオン株式会社 | むし歯予防 | |
チェストベリー乾燥エキス | プレフェミン | ゼリア新薬工業株式会社 | 月経前症候群の症状緩和 |
トリメブチン | セレキノンS |
田辺三菱製薬株式会社 | 過敏性腸症候群の症状緩和 |
イコサペント酸エチル | エパデールT | 持田製薬株式会社 | 中性脂肪値の改善 |
ネチコナゾール | エスエスカンジダクリーム フェミディアクリーム カンジダカユミノンクリーム |
エスエス製薬株式会社 | - |
赤ブドウ葉乾燥エキス混合物 | アンチスタックス | エスエス製薬株式会社 | 軽度の静脈還流障害によるむくみの改善 |
厚生労働省のサイトでは、要指導医薬品の一覧を見ることができるので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
一般用医薬品
一般用医薬品はリスクの程度により、第一類医薬品、第二類医薬品、第三類医薬品の3つに分類されます。
【第一類医薬品】
一類医薬品は一般用医薬品の中で最もリスクの高い区分であり、購入に際しては要指導薬品と同様に薬剤師による服薬指導や文書による情報提供が義務づけられています。
第一類医薬品も販売されている種類は少なめですが、有名なものとしては大正製薬のリアップシリーズがあります。
リアップには有効成分としてミノキシジルが含まれます。ミノキシジルは優れた育毛促進効果を有している反面、血圧や心機能に対する影響も報告されており、リスクの高さが指摘されています。
このため、リアップを第一類医薬品に指定して薬剤師による服薬指導を義務化することで、健康被害を最小限に抑えるための措置が図られています。
【第二類医薬品・第三類医薬品】
第二類医薬品、第三類医薬品は要指導医薬品や第一類医薬品に比べてリスクが低い薬であり、市販されている薬のほとんど(95%以上)がこれらの区分にあてはまります。
購入に際しての服薬指導は義務付けられておらず、薬剤師がいなくても登録販売者の資格を持つスタッフがいれば販売することができます。
その種類は痛み止めから風邪薬、胃薬、湿布薬、ビタミン剤に至るまで様々ですが、いずれもリスクが低い分、効き目についても要指導医薬品や第一類医薬品と比べて劣ると言えます。
処方薬とは
それでは次に、クリニックや調剤薬局で処方される処方薬について見ていきましょう。
処方薬とは「医療用医薬品」、「処方箋医薬品」などとも呼ばれる薬です。
処方薬は医師や歯科医師が発行した処方箋に基づいて患者さんに交付される薬であり、処方薬を手にするためには必ず医師や歯科医師の診察を受けなければなりません。
日本では、以前は病院やクリニックで診察を受けると、その場で薬も一緒に交付してもらうことができました。
しかし、最近は欧米先進国の制度に合わせて、薬を選択するのは病院・クリニック、薬を交付するのは薬局というように、「処方」と「調剤」を別々の医療機関が分業で行う体制が主流になっています(このことを専門用語で「医薬分業」と言います)。
このため、患者さんは病院やクリニックで発行された処方箋を好きな薬局に持って行くことで処方薬を受け取ることになります。
ときどき薬局で「薬を処方して欲しい」と頼まれる患者さんがいらっしゃいますが、薬を処方できるのは医師だけです。
薬局では医師が発行した処方箋に基づいてお薬を交付する(調剤する)だけですので、処方薬をもらうためには、必ず事前に医師の診察を受け、処方箋を発行してもらう必要があることには注意が必要です。
なぜ処方薬には処方箋が必要なのか
それでは処方薬はなぜ、OTC医薬品と同じように店頭で販売することができないのでしょうか?
一番の理由には処方薬のリスクの高さがあります。
一般に、処方薬はOTC医薬品と比べて効き目が強いものが多く、その分、副作用も強くなります。
このため患者さんが、服用する処方薬を自己判断で選んだり、服用量を調節することは極めて危険な行為と言えます。
薬の選択は、本来、厳密な医学的根拠に基づいて行う必要があります。
患者さんの病状、年齢、体重、既往歴、副作用歴、各種臨床検査の結果など様々な要素を総合的に判断したうえでその患者さんに最も適した薬を選ぶ必要があり、これができるのは高度な医学的知識を持つ医師だけです。
このため、処方薬を受け取るためには必ず医師の診断を受ける必要があるのです。
また、薬局では医師が発行した処方箋の内容を薬剤師が確認し、必要があれば医師に処方内容の変更の提案も行います。
さらに患者さんに薬の正しい使用法を説明し、副作用の有無を確認することで処方薬の服用によるリスクを最低限に抑えるように努めています。
このように、処方薬はそのリスクの高さから、服用に際しては、医師や薬剤師などの専門家による指導・監督が不可欠であり、OTC医薬品のように簡単には入手できない仕組みになっているのです。
効き目は強いがその分副作用のリスクも高い薬、それが処方薬であることをしっかりと頭に入れておきましょう。
市販薬と処方薬の効果の違い
一般に処方薬はOTC医薬品よりも効果が強いものが多く、これは薄毛治療薬についても当てはまります。
例えば、薄毛治療用のOTC医薬品として有名なリアップには有効成分であるミノキシジルの濃度が最大で5%配合されています(リアップX5プラスの場合)。
リアップは第1類医薬品のため、購入にあたっては薬剤師への相談が義務付けられていますが、医師の診察までは必要としません。
このため、副作用防止の観点からリアップに含まれるミノキシジルの濃度は最大5%と制限されています。
これに対して、病院やクリニックではミノキシジル濃度が6.5%とさらに高い効果が見込まれる外用薬を処方してもらうこともできます。
さらにこうした医療機関では外用薬だけではなくミノキシジルの内服薬を処方してもらうことも可能です。
内服薬のミノキシジルは外用タイプよりも効果が強い反面、薬物が血流に乗って全身に移行するため副作用のリスクも高いと言われています。
具体的には過度の降圧、浮腫、ニキビ、不整脈、頭痛、めまい、体重増加など様々な症状が発現する可能性があり、服薬にはそれなりのリスクを伴うため、医師の指導・監督のもとで正しく服用することが求められます。
このように、同じミノキシジル製剤でも処方薬とOTC医薬品とではその効果や副作用リスクに大きな差がでる場合があります。
OTC医薬品と処方薬の使い分けのポイント
医療機関を受診する暇がなく、手軽に薄毛治療をしたいと考えている方はまずはOTC医薬品を試してみるのも良いでしょう。
しかし、OTC医薬品では今一つ効き目が実感できない、またはOTC医薬品が体質に合わずに頭皮がかぶれてしまったなどといった場合には迷わずクリニックを受診されることをお勧めします。
クリニックでは医師が患者さん一人ひとりの頭皮環境に合わせた最適な強さの薬を選択してくれるため、OTC医薬品の一歩上を行く治療効果が期待できます。
また、医師や薬剤師が副作用発現の有無を定期的に確認するなど、安全面においても十分な配慮がなされているため、安心して治療を継続することができるでしょう。
まとめ
今回は、OTC医薬品と処方薬それぞれの特徴と違いについて解説しました。
クリニックになかなか行くことができない方、試しに薄毛治療を使ってみたい方は手軽に入手できるOTC医薬品から治療をスタートするのも一つの選択肢です。
ただし、より高い治療効果を求めるであればやはり医師の診察を受診し、処方薬で薄毛治療を行うのがよいでしょう。
自分がどのような治療を行いたいのか、治療薬にどんな効果を期待するのかによって、上手くOTC医薬品と処方薬を使い分けましょう。
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