びまん性脱毛症とは

多くの女性を悩ませる「びまん性脱毛症」について、症状から原因まで詳しく解説します。

びまん性脱毛症の概要

びまん性とは、病気を発症することで心身に起きる変化が特定できず広範囲にわたることを意味します。

びまん性脱毛症は、その意味の通り髪が全体的に薄くなる特徴を持つ脱毛症の一種です。
AGAのように生え際頭頂部など特定の部位に脱毛症状が現れるのではなく徐々に全体的に薄毛が進行していきます。

少しずつ髪全体のボリュームが減り、髪の毛が細く柔らかくなっていきますが緩やかに変化が起きるため、自分で気づいた時にはかなり進行しているというケースも珍しくありません。

AGAの女性版であるFAGA(FemaleAndrogeneticAlopecia)の別名として使われることも多く、FAGA=びまん性脱毛症として考えましょう。

びまん性脱毛症の症状

びまん性脱毛症の概要で少し触れましたが、びまん性脱毛症を発症すると徐々に抜け毛症状が進行し、頭髪全体が薄くなります。

びまん性脱毛症になると髪のハリ・コシ・ツヤがなくなり、細く弱々しい髪質へと変化します。
弱々しい髪質に変化することで髪は抜けやすくなり全体のボリューム感も失われます。
これにより分け目やつむじが目立つようになってしまい
最終的には、頭皮が透けて見えるまで薄毛が進行してしまいます。

40代以降の女性に発症することが多く、加齢現象の一環として受け取られがちです。
確かに加齢が影響している一面もありますが、それ以外の要因によっても発症します。

びまん性脱毛症の原因

びまん性脱毛症の主な原因は「ホルモンバランスの乱れ」によります。

女性の身体は卵巣から女性ホルモン、副腎から男性ホルモンを分泌しています。通常のホルモンバランスであれば、女性ホルモンの方が圧倒的に分泌量が多く男性ホルモンの働きが極端に強まることはありません。
しかし、女性ホルモンが減少すると男性ホルモンの影響が強まり男性と同じく脱毛症状を引き起こすジヒドロテストステロンが生成されやすくなります。

ホルモンバランスの乱れを誘発する代表的なものとしては下記が挙げられます。

【加齢】

女性ホルモンには発毛を促進する働きがあり、これにより豊かで健康的な美しい髪が生えてきます。
しかし、女性ホルモンは年齢と共に分泌量が減少するため徐々に発毛促進の働きは弱まっていきます。一般的にホルモン減少は40台前後から始まり、60代になると大半の女性に多少なりとも脱毛症状が起きるとされています。

【ストレス】

ストレスが発生すると、交感神経が刺激され血管の収縮が起きます。血管の収縮によって頭皮にも血行不良が起き、栄養が行き届かなくなってしまいます。栄養をしっかりと補給できなかった髪はやせ細り、抜けやすい状態となります。また、血行不良はヘアサイクルやホルモンバランスを乱す原因にもなることがわかっています。

意外に思われるかもしれませんが、ストレスが心身に及ぼす影響は頭皮にも大きく関わっています。

【過剰なダイエット】

日頃の食生活が身体だけでなく髪の栄養にも直結しています。特に10代~20代の若い女性は過剰なダイエットを行う傾向があり、極端な絶食や栄養分の少ないローカロリーフードだけを食べるなど栄養失調レベルまで過剰なダイエットをしてしまうケースも少なくありません。

正常なホルモンバランスは、バランスのとれた食事が必要不可欠です。
大豆やビタミン等には、女性ホルモンを補ったり整えてくれる効果があります。

らに、健康的な髪の維持や発毛にも栄養は欠かせません。
上記で紹介した栄養素以外にも、亜鉛やミネラル、たんぱく質、種子類などをバランスよく摂取することが重要なポイントとなります。

【ピルの服用】

ピルというと、避妊をイメージする方も多いかと思いますがホルモンバランスの調整や、生理痛や月経前症候群(PMS)の緩和、生理不順の改善などに対しても処方されます。

ピルの種類にもよりますが、主に黄体ホルモン(プロゲストーゲン)、卵胞ホルモン(エストロゲン)が主成分となっています。基本的には、女性ホルモンを補うことで乱れたホルモンバランス調整し、服用期間等によって排卵などの周期を調整するようになっています。

女性ホルモンを補い、整えるはずのピルがなぜホルモンバランスの乱れを引き起こすのか。それは、服用を中止することで補われていた分の女性ホルモンが失われ身体は女性ホルモンが減少したと認識し一時的にホルモンバランスが乱れることによります。

乱れたホルモンバランスはヘアサイクルにも影響し、一時的に抜け毛が増えることがあります。

上記以外にも睡眠不足、飲酒、喫煙、糖分・油分の多い食事など生活習慣もホルモンバランスに影響するとされています。

びまん性脱毛症の治療

びまん性脱毛症については原因を特定、改善することで症状を改善しやすい脱毛症です。自分自身の生活習慣や、ホルモンバランスを誘発しそうな要因を極力除外していくことが重要なポイントとなります。

脱毛症状がかなり進行している場合にはミノキシジルや成長因子を頭皮に注入するHARG(ハーグ)療法などの治療が有効とされています。男性のAGAと女性のびまん性脱毛症(FAGA)は治療方法が異なるので、治療の際は女性治療対応のクリニックを選ぶと良いでしょう。

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