女性の薄毛治療薬「パントガール」の効果と副作用

FAGA(びまん性脱毛症)
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女性の薄毛治療薬として人気のある「パントガール」。
飲む育毛剤として日本でも様々なクリニックで処方が行われています。
パントガールの製薬会社が行った臨床試験では3ヶ月間の継続服用で約70%の方に抜け毛抑制効果が見られたという結果が出ており、その効果に注目する女性も多くいらっしゃいます。

今回は、そんなパントガールの効果や成分について解説します。

パントガールを用いた治療について

パントガールはドイツの製薬会社「Merz Pharmaceuticals」が製造販売を行う育毛剤です。
Merz社自体は、日本であまり馴染みがない企業かもしれませんが、その創業は1908年まで遡り主に皮膚科学に重点を置いた製品開発を行う歴史ある製薬会社となっています。

そのMerz社から世界中の薄毛、抜け毛に悩む女性に向けて開発されたのがパントガールです。
服用のメリットとしては
・抜け毛の抑制及び薄毛の改善が期待できる
・HARG療法やメソセラピーなどの施術よりも手軽
・治療費が抑えられる
・副作用が少ない
などの点が挙げられ、人気のある薄毛治療薬のひとつとなっています。

基本的には3ヶ月ほど服用し、効果が認められた場合はさらに6か月~12か月程度継続した服用を行う必要があるとされています。
気になる価格については、自由診療扱いとなるためクリニックによって変動しますが1箱当たりおよそ1万円~1万5千円で処方が行われています。

なお、パントガールは男性でも使用可能となっていますが、AGA(男性型脱毛症)の場合は、原因となるジヒドロテストステロンの抑制を行う方がより効果的であることからMerz社側ではフィナステリド(プロペシア)やデュタステリド(アボルブやザガーロ)等と併用することを推奨しています。

女性の場合はフィナステリドやデュタステリドを使用することができないのでパントガール単体、もしくはミノキシジル、ミノキシジルタブレットと併用する形で処方されるのが一般的です。

パントガールの効果とは

それでは、パントガールにはどのような成分が入っていて、どのように薄毛や抜け毛を改善するのかをみていきましょう!

パントガールの成分

パントガールには主要成分として下記が配合されています。

【薬用酵母】
タンパク質やビタミンB類などによって構成されており、髪や頭皮に栄養を与え、健やかな髪の育成をサポートします。

【パンテトンパントテン酸カルシウム】
ビタミンの一種で、髪を構成するケラチンが代謝されるのを促進したり、皮脂代謝・皮脂分泌のコントロールによって健やかな頭皮を保つ役割があります。
また、コラーゲンの生成をサポートする機能があり痛んだ髪の補修も行います。

【ビタミンB1】
糖質をエネルギーに変えることでエネルギーを供給したり、中枢神経や末梢神経を正常に保つ効果があります。

【ケラチン】
髪の毛の9割を構成するのがこのケラチンです。18種類のアミノ酸から構成されており、毛髪や皮膚、爪を健やかに保つ効果があります。

【L-シスチン】
髪や頭皮、皮膚を美しく健やかに保つ効果や、メラニンの抑制による美白効果などがあります。

【パラアミノ安息香酸】
毛髪の色素を濃くする働きがあり、白髪になりかけた髪を元の色に戻す作用があります。
また、頭皮や髪の毛のアンチエイジング効果も期待できます。

ご覧のようにパントガール自体にはフィナステリドやデュタステリドのように薄毛の原因自体を抑制するような効果はありません

しかし、下記の3つの作用によって発毛および育毛効果をもたらすと考えられています。

【パントガールの作用】
・毛根の代謝を活性化させることで髪の毛を成長期へと導く
・健康な髪が育ちやすいように頭皮環境を整える
・髪に栄養を補給すると共にダメージヘアを補修

頭皮環境が整い、髪にしっかりと栄養が行き渡れば、太くコシのある髪が生えるようになり全体的なボリュームアップが期待できますし、ダメージヘアが改善されればダメージが原因による切れ毛や抜け毛自体を解消することができるので、結果として薄毛改善効果も見込めます。

また、Merz社が公表している臨床試験の結果によると3ヶ月間の継続服用について
・70%の治験者に抜け毛の減少を確認
・39%の治験者に毛髪構造損傷の改善効果を確認(改善度合いは中度~軽度)
という結果が出ています。

髪の発毛・育毛について最も重要となる「成長期毛率」についても70%以上の増加に成功していることから、高い治療効果が期待できます。

ホルモンバランスによる薄毛はパントガールだけで治療できない

FAGAびまん性脱毛症)をはじめとした女性の薄毛は加齢、ストレス、ホルモンバランスの乱れ、過剰なダイエットなどが主な原因とされています。

パントガール自体は優れた薄毛、抜け毛治療効果が期待できますが残念ながらホルモンを調整する作用自体は無く、薄毛の原因がホルモンバランスだった場合十分な効果を引き出せない可能性があります。

ホルモンバランスを整える食生活や生活習慣等を取り入れつつ、パントガールを服用する必要があるため「飲んでるだけで治る」と思うのはやめた方が良いでしょう。

パントガールに「副作用がない」のはウソ

サイトによってはパントガールに副作用がないと記載している場合がありますが、それはウソです。
Merz社が公表している添付文書を翻訳すると、副作用について記載されています。

パントガールの副作用

主な副作用としては、まれに発汗、頻脈、発疹、皮膚のかゆみ、蕁麻疹、胸やけ、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、めまい、頭痛、動悸などが起きることが記載されています。
(出典:http://www.pantogar.com/media/public/dateien/pdf/BPZ_Pantogar_EN.pdf

重篤な副作用については記載されていないので、副作用自体は少ないようですが安全のためにも副作用のリスクがあることは覚えておきましょう。

まとめ

今回は女性に人気のある薄毛治療薬「パントガール」について解説しました。
男性型脱毛症ガイドラインには記載されていない治療薬となりますが、年々取り扱うクリニックも増加していることから今後の展開に期待が寄せられます。

女性の薄毛治療薬は男性よりも選択肢が少ないのが実情ですが、パントガールをはじめ有効な治療薬は複数あるので、薄毛や抜け毛に悩んでいる方はぜひ医師に相談してみてください。

FAGA(びまん性脱毛症)や女性の薄毛については、こちらもぜひご覧ください。

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