発毛剤、育毛剤、養毛剤の違いとは
髪の悩みに対して各種クリニックやドラッグストアでは「発毛剤」「育毛剤」「養毛剤」等を扱っています。しかし、薄毛をいざ対策しようと思っても「どれがどれだか区別がつかない」「どう使い分けたらいいか分からない」という方は多いのではないでしょうか。
今回はこの3つの特徴と、使い分けについて解説します。
自分の症状に合った治療薬選びにぜひお役立てください。
薄毛治療薬にはいろんな分類がある
現在、市販されている薄毛治療薬には様々な種類のものがありますが、これらは大きく、発毛剤、育毛剤、養毛剤の3つのカテゴリーに分類することができます。
発毛剤、育毛剤、養毛剤は日常的にも良く耳にする馴染みの深い用語ですが、細かい定義や区別については理解してない人がほとんどであり、専門家の間でもしばしば混同して用いられています。
ただし、これらの分類は医薬品医療機器等法などの法律により厳密に定義されているものではありません。
商品の有効成分や作用機序、効果の強さなどによって慣例的に用いられている分類ですので、まずはこの点を知っておいてください。
目的に合った治療薬選びをしよう
名前が似通っており、区別がつきにくい発毛剤、育毛剤、養毛剤ですが、薄毛治療を行っていくうえで、これらの違いや特徴を的確に把握しておくことはとても重要です。
薄毛治療には、数ある商品の中から自分の頭皮の状態に適した最適な(あるいはそれに近い)ものを選択する必要があるため、各商品の特性を把握するうえでも分類の区別についてはしっかりと押さえておく必要があります。
以下に発毛剤、育毛剤、養毛剤のそれぞれの特徴と治療効果について代表的な商品名とともにご説明いたします。
発毛剤とは
発毛剤とは毛母細胞に直接作用し、細胞分裂を促すことで発毛を促進させる成分を含む商品を指します。発毛剤は3つの分類の中で最も効果が強く、そのほとんどが医薬品に分類されています。
発毛剤には医療用医薬品と一般用医薬品(OTC薬)の両方があります。
医療用医薬品として用いられている代表的な発毛剤にはフィナステリド(商品名:プロペシアなど)があります。フィナステリドはAGAの代表的な治療薬であり、Ⅱ型5αリダクターゼと呼ばれる酵素の働きを阻害することで、毛髪促進に悪影響を与える男性ホルモン・ジヒドロテストステロンの産生を抑制します。
フィナステリドの効果は強力であり、信頼性の高い発毛剤としてAGA治療に幅広く用いられています。
しかし、フィナステリドは効果が強い反面、副作用のリスクも高い薬です。このため、医師や薬剤師のもとで服用し、慎重に経過観察を行うことが必要になります。
フィナステリドと双璧をなすと言われる有名な発毛剤の成分としてミノキシジルがあります。
医療用医薬品のミノキシジルには錠剤と外用薬の2種類があり、一般用医薬品(OTC薬)のミノキシジルには大正製薬から発売されている外用薬のリアップシリーズがあります。
ミノキシジルは頭皮の血管を拡張させることで血流を増加させ、毛母細胞に多くの栄養を行き渡らせることで毛髪の伸長を促進させます。
外用薬を頭皮に塗布するだけでも効果を発揮しますが、錠剤を内服することでさらに強力な作用を発揮するとされており、男女問わず多くの薄毛に悩む方に使用されています。
発毛剤は、AGAやFAGA(びまん性脱毛症)の進行が進んでいる方や、本格的な治療を行いたい方に向いていると言えるでしょう。
ただし、ミノキシジルもフィナステリド同様に副作用のリスクがあるため、使用に際しては医師や薬剤師による診察や相談が必須となっています。効果の強い発毛剤であるがゆえに厳重なリスク管理が必要になることも頭に入れておきましょう。
育毛剤とは
育毛剤とは毛髪の成長を促進する成分を主として含む商品であり、効き目の強さでは発毛剤と養毛剤の中間に位置しています。
発毛剤が脱毛してしまった部位に新しい毛髪を生み出す働きをするのに対し、育毛剤はすでに生えている毛髪の成長を促進し、脱毛を防ぐ働きをすると言われています。
具体的には、頭皮の毛乳頭に作用することで毛母細胞の増殖を活発にし、発毛促進効果、脱毛予防効果をもたらします。また、殺菌作用により頭皮の雑菌の繁殖を抑制し、保湿作用によって頭皮の環境を整える働きもします。
育毛剤として有名なものには株式会社ソーシャルテックから発売されているチャップアップ(CHAP UP)があります。
チャップアップは医薬部外品に指定されており、グリチルリチン酸、センブリエキス、ジフェンヒドラミンの3種類の有効成分が含みます。
グリチルリチン酸やジフェンヒドラミンは頭皮の皮脂が毛穴に詰まることによって起こる炎症反応を抑制します。また、センブリは保湿作用などにより頭皮環境を改善させる働きをします。
また、チャップアップには頭皮に悪影響を及ぼす添加物や香料などが一切使用されていないため、敏感肌の方でも比較的安心して使用できるというメリットもあります。
チャップアップの他に有名な育毛剤としてはスカルプDやポリピュアEXなどがあります(いずれも医薬部外品)。
このように、育毛剤には医薬部外品に指定されているものが多く、発毛剤ほどではないものの、薄毛に対して一定の改善効果を期待することができます。
薄毛の症状が軽度である方や発毛剤の副作用が気になるといった方は育毛剤の使用から始めてみると良いでしょう。
養毛剤とは
養毛剤とは脱毛の抑制や毛髪の保護を目的とした商品を指します。養毛剤には毛髪の栄養成分や保湿成分、皮脂分泌を抑制する成分などが含まれています。育毛剤と働きは似ていますが、効き目はより穏やかであると言われています。
養毛剤は作用の穏やかさから化粧品に分類されるものが多いです。
このため劇的な薄毛改善効果は見込めませんが、手軽に薄毛対策をしたい方には適していると言えるでしょう。
養毛剤として有名なものには株式会社ユーピーエスから発売されているフィンジアがあります。
フィンジアは化粧品に分類される養毛剤で、キャピキシル、ピディオキシジル、カプサイシンといった成分が配合されています。これらの成分には乱れた頭皮のコンディションを整える作用があり、脱毛を抑制し、毛髪を保護する働きをします。
養毛剤は直接毛髪に作用すると言うよりは、頭皮の環境の改善を通じて脱毛を予防することがメインとなります。このため、極軽度の薄毛の方が使用したり、現段階では薄毛ではないが将来の薄毛を予防するといった目的で使用するのが一般的と言えるでしょう。
発毛剤、育毛剤、養毛剤の使い分けに迷ったら
現在、市場には数多くの薄毛対策商品が出回っており、いったいどれを使えばよいのか分からいといった悩みを抱えている方も多いことでしょう。
薄毛治療では個々の頭皮の状態に合わせた商品を選定することが重要であり、闇雲な使用はかえって症状を悪化させることにもなりかねません。
上で説明したような発毛剤、育毛剤、養毛剤の特徴を踏まえながら、自分の薄毛の状態に適した商品を選ぶことが基本となりますが、判断に迷われる場合は専門家に相談することも有効な手段です。
例えば、クリニックを受診すれば、熟練したスキルや経験をもつ医師により、自身の頭皮や健康状態に合わせた最適な商品を選んでもらうことができます。
また、薬局やドラッグストアには薬剤師や登録販売者といった有資格者が常駐しているため、さまざまな商品の特徴や使い分けについて相談することも可能です。
特にリアップをはじめとする発毛剤はほとんどが医薬品であり、効果が強い反面、副作用を起こすリスクもあり、使用に際しては細心の注意が必要となります。
現在治療中の疾患がある方、他の薬を服用中の方、ご高齢の方などは購入前に薬剤師と良く相談するようにしましょう。
効き目を急ぐあまりあれこれと複数の商品を併用したりすると、かえって逆効果になったり、予期せぬ副作用を起こす可能性もあります。使用に際してはくれぐれも慎重に行うことが大切であると言えます。
まとめ
発毛剤、育毛剤、養毛剤ともにドラッグストアやネットで気軽に購入することができますが、その違いを理解していないと思うような効果が得られない場合があります。購入の際には、それが発毛剤なのか育毛剤なのか、もしくは養毛剤なのかをしっかりと確認した上で目的に合ったものを選びましょう。
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