抜け毛が急に増えた時に疑うべき病気とは?

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正常な抜け毛と異常な抜け毛

人間の髪の毛は一定の周期に従って成長と脱毛を繰り返しており、この周期をヘアサイクルと呼びます。ヘアサイクルは「成長期」「退行期」「休止期」の大きく3つに分けることができます。

成長期には毛母細胞が分裂することで毛髪が伸長しますが、退行期を経て休止期に移行すると、毛根は毛穴の表面に押し出されていき、自然に抜け落ちていきます。

こうしたヘアサイクルに伴い生じる抜け毛は正常な生理反応の一環であり、特に心配する必要はありません。健康な人では1日に50~100本程度の毛髪が抜けるといわれているため、この程度の抜け毛であれば許容範囲内といえるでしょう。

しかし、時としてこうした本数を大きく上回るような抜け毛が生じることもあります。こうした抜け毛はヘアサイクル以外の原因によるものであり、異常な抜け毛であるといえます。

異常な抜け毛の原因の多くはAGAやFAGAと呼ばれる壮年性の脱毛症ですが、中にはこれ以外の病気によって抜け毛が異常発生する場合もあるため、しっかりと区別する必要があります。

抜け毛の原因はAGAやFAGA以外にもある

抜け毛というと、加齢やAGA、FAGA(びまん性脱毛症)を連想する方も多いと思いますが先述の通り、病気による影響で脱毛症状が起きる場合もあります。男性でも女性でも「急激に抜け毛が増えた」という場合には実は病気が潜んでいる可能性があるのです。

原因不明の抜け毛が増える事に不安を抱える方も多くいらっしゃいます。

神経質に病気を疑うのは却って良くありませんが、抜け毛の急増に加え、体調も優れない…という状態が続くようであれば医師に相談することも視野にいれてください。

それでは、抜け毛を伴う病気にはどのようなものがあるのかを見ていきましょう!

甲状腺機能低下症による抜け毛

甲状腺機能低下症の治療薬イメージ

甲状腺とは人間の喉の辺りにある器官で、甲状腺ホルモンと呼ばれる化学物質を分泌することで生体機能を調節する働きをしています。

甲状腺機能低下症とは甲状腺ホルモンの分泌量が低下することで生じる代謝・内分泌疾患のことで、様々な身体的不調を引き起こします。

脱毛もその一つであり、甲状腺ホルモンには細胞分裂を活発化させる働きがあるため、ホルモンの分泌が低下すると毛母細胞の分裂も抑制され、結果として脱毛が進行します。

甲状腺機能低下症は特に女性に多い病気であるため、女性の方で異常な脱毛が見られた場合はこの病気による可能性を疑うことができます。

脂漏性皮膚炎による抜け毛

脂漏性皮膚炎とは頭皮の皮脂が過剰に分泌されることで引き起こされる病気です。皮脂の分泌量が多いと、これを餌としてマラセチア菌と呼ばれる真菌が増殖してしまい、頭部に炎症を引き起こします。
これにより、毛母細胞の正常な細胞分裂が妨げられ、脱毛が進行してしまうのです。

脂漏性皮膚炎では頭皮が発赤や掻痒感を伴う乾燥状態になり、さらに症状が進行すると頭皮から黄色の浸出液が出てくることもあります。

こうした症状とともに抜け毛が大量発生した場合は脂漏性皮膚炎の可能性が高いため、直ちに皮膚科を受診して治療する必要があるといえます。

鉄欠乏性貧血による抜け毛

鉄欠乏性貧血とは血液中にある鉄分が不足することにより生じる貧血のことで、女性の1割程にみられると病気です。鉄欠乏性貧血は全身の血行を悪化させるため、頭皮に行き渡る血液量も少なくなり、栄養供給量が乏しくなります。

このため、毛母細胞が栄養不足に陥り、正常な細胞分裂が妨げられることで脱毛が発症してしまうのです。

鉄欠乏性貧血による脱毛の特徴は頭部の広い範囲にわたって髪の毛が薄くなるびまん性脱毛症であるといわれています。このタイプの脱毛はゆっくりと進行し、気づきにくいことが多いため、怪しいと感じたらすぐに皮膚科を受診することをお勧めします。

膠原病による抜け毛

膠原病とは主に20~40代の女性にみられる自己免疫疾患の一つであり、体内の様々な部位に炎症を起こします。明確な原因は分かっていませんが免疫異常や遺伝などが関与するとされています。

膠原病になると血液循環が悪化するため、血液中を流れる栄養分の量も少なくなり、頭皮が栄養不足に陥ることによって抜け毛や薄毛が発症します。膠原病による抜け毛は円形脱毛症のようになることが特徴です。

膠原病は難病指定されているため完治させることは難しいですが、内服薬により症状を和らげることは可能ですので、膠原病を疑うような異常な脱毛がみられた場合はすぐに受診するようにしましょう。

卵巣嚢腫による抜け毛

卵巣嚢腫は良性卵巣腫瘍とも呼ばれており、子宮筋腫と並んで多くの女性にみられる腫瘍です。卵巣内に脂肪や体液が貯留することで炎症を起こし、卵巣機能が低下してホルモンバランスが乱れ、抜け毛を生じさせます。

卵巣嚢腫による抜け毛の特徴は鉄欠乏性貧血と同じくびまん性の脱毛症であり、頭部が全体的に薄くなります。女性の脱毛症の大きな原因となっており、放っておくと危険な状態になることもあるため、卵巣嚢腫が疑われるような脱毛がみられた場合はただちに婦人科を受診する必要があります。

まだまだある抜け毛の原因!

上記のように明らかな病気により抜け毛が発生することもありますが、それ以外にも以下のような原因によって異常な脱毛が生じる場合があります。

これらの脱毛の多くは生活習慣の見直しなどによって改善できる場合も多いため、思い当たる節のある方は今すぐ対策をとるようにしましょう。

栄養バランスの乱れ

食生活は毛髪の発育に大きな影響を及ぼしています。
タンパク質、ビタミン、ミネラルなどをバランス良く含む食事を摂らないと毛母細胞に十分な栄養を供給することができなくなり、抜け毛の原因となります。

また、スナック菓子や揚げ物のようなトランス脂肪酸を多量に含む油物を多量に摂取すると頭皮環境に悪影響をあたえ、同じく脱毛を促進することになります。

抜け毛が多い人で、外食ばかりしている人や朝食を抜いたりしている方は、今一度食事内容を見直し、栄養バランスのきちんととれたメニューを3食とることを心がけるようにしてください。

睡眠不足

睡眠不足は毛髪に大きな影響を与え、抜け毛を促進する可能性があります。人間が寝ている間には成長ホルモンが分泌され、このホルモンは発毛を促進する働きをします。

夜更かしや短時間睡眠はこの成長ホルモンの正常な分泌を妨げることになり、結果として大量の抜け毛につながる可能性があります。

喫煙

タバコには200種類以上の有害物質が含まれるといわれており、人体に様々な悪影響を及ぼします。喫煙をすると頭皮の血管が収縮し血流が悪化して毛母細胞が栄養不足の状態に陥ります。

また、喫煙は同時に男性ホルモンの分泌を促すことでジヒドロテストステロンの生成量を増加させ、脱毛を促進してしまいます。

これ以外にも毛髪の成長に必要なビタミンを消費させたり、肝機能を低下させて頭皮に運ばれる栄養成分の代謝を阻害したりと様々な影響により脱毛を促進することとなり、薄毛を加速させる原因となります。

毛髪の健康を考えると、タバコを吸われている方は今すぐにでも禁煙を考えるべきといえるでしょう。

紫外線の影響

夏~秋にかけては強い日差しの影響で頭皮が紫外線によるダメージを受けやすくなります。長時間紫外線を浴び続けると毛母細胞にダメージが蓄積されてしまい、夏の終わり~秋頃にかけて特に抜け毛が発生しやすくなります。

毎年この時期に抜け毛が増えるという方は帽子を着用するなどして紫外線の影響から頭皮を守ってあげるようにしましょう。

刺激の強いシャンプーの使用

ラウリル硫酸Naなどを含んだ石油系(高級アルコール系)シャンプーは洗浄力は強いものの、頭皮に対する刺激も強く炎症を起こすなど抜け毛の原因となることがあります。

このため、シャンプーを使う際はできるだけ刺激が少なく頭皮に優しいアミノ酸系のものを選択することをお勧めいたします。

まとめ

今回は、抜け毛を伴う病気として代表的な甲状腺機能低下症、脂漏性皮膚炎、鉄欠乏性貧血、膠原病、卵巣嚢腫について解説いたしましたが他にも胃腸障害による栄養不足や薬の副作用による抜け毛もあります。

抜け毛の原因を医療知識のない人間が正確に判断するのは難しく、対処が間違っていると抜け毛や病気が進行してしまう恐れもあります。そういった時こそ、ぜひ医師に相談してみましょう。

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